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「患者申出療養制度」ってどんな制度??
豊かな人生をあなたと一緒に考えるお金の専門家、ファイナンシャルプランナーの倉重です。
昨年4月にスタートした「患者申出療養制度」をご存知でしょうか。
この制度は、患者からの国への申し出をもとに審査を行い、日本では未承認の薬や先進的な医療を受診できるようにするための制度です。今回はこの「患者申出療養制度」がどのような制度なのか、どのようなケースに適用されるか等、その概要をお話したいと思います。
はじめに「混合診療」とは?
皆さんは「混合治療」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
日本の診療には、3割自己負担で受診できる「健康保険の範囲内の診療」と、全額自己負担となる「健康保険の範囲を超えた診療(自由診療)」の二つがあります。
この二つを同時に行う診療を「混合診療」と言います。
原則として「混合診療」は認められていません。そのため「混合診療」を行うと「健康保険の範囲内の診療」の治療費、薬代はおろか、入院料や技術料までも全て全額自己負担となります。
よって、「健康保険の範囲を超えた診療」の部分と合わせると、その負担額はとても大きくなります。
次に「保険外併用療養」とは?
「保険外併用療養」とは、先述の「混合治療」を行っても「健康保険の範囲内の診療」については従来通り健康保険が適用され、3割の負担で受けることができることを言います。
さらに、高額療養費制度の対象にもなります。全額自己負担は「健康保険の範囲を超えた診療」の部分のみになるので、負担額がかなり軽減されます。
※「保険外併用療養」に関する詳細はこちらの全国健康保険協会のホームページでご確認ください。
では本題の「患者申出療養制度」とは?
「患者申出療養制度」とは、日本では未承認薬等の先進的な医療を先述の「保険外併用療養」として使用したいという患者からの申出を受けて、患者にとってその治療が効くのか(有効性)、大きな副作用はないか(安全性)、科学的根拠があるか、どのような医療機関・医師が適切かを審査・確認し、身近な医療機関で受診できるようにするための制度です。
「患者申出療養」は、どのようなケースで申請するのか?
➀患者が、治験・先進医療のいずれでも実施していない医療を実施したい場合
②患者が、先進医療で実施しているが実施できる基準から外れてしまった場合
③患者が、先進医療で実施しているが自分の身近な保険医療機関で行われていない場合
④患者が、すでに実施されている患者申出療養が自分の身近な保険医療機関で行われていない場合
上記のケースで申し出ることができます。
「患者申出療養」を申請したいと思ったら、どうすればいいの?審査にかかる日数は?
先ずは、かかりつけの医師、身近な保険医療機関に相談し、次に「臨床研究中核病院」と連携、国に提出する医療技術の資料作成し「患者申出療養」の実施を申請します。
※「臨床研究中核病院」=革新的な医薬品や医療機器の研究開発の推進を目的として、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院
初めての医療を実施する場合は、審査に原則6週間かかります。
既に「患者申出療養」として、前例があるときは審査に原則2週間かかります。
審査で承認されると「患者申出療養」が実施されます。
最後に
今回は「患者申出療養制度」についての概要をお話させていただきました。
スタートして1年、まだまだ様々な課題が山積されているようです。
申出手続きまでが複雑、審査に時間がかかる、「臨床研究中核病院」が全国に少ない。
そして、何より申請が通ったとしても「健康保険の範囲を超えた診療」の費用が、その診療によってはものすごく高額になる場合も。そのため、実施に至った「患者申出療養」にかかる費用を保障する生命保険の商品も発売されました。
確かに、この新制度により困難な病気と闘う患者さんの治療の選択肢は増えました。でもすべての方に万全な制度かは疑問が残ります。
日進月歩、これからも色々な新しい療養制度が生まれると思います。皆さんはその都度その新しい制度を自分自身のために、そして大切な家族を守るためにも理解して行かねばなりません。
私たち、おかねの相談室のファイナンシャルプランナーはそのお手伝いのための努力を惜しみません。
お気軽にご相談ください。
※「患者申出療養制度」に関する詳細は、こちらの厚生労働省のホームページでご確認ください。